『パニック・フライト』(ウェス・クレイヴン)

DVDで。85分の作品なのですが、エンドロールが8分もあるので正味77分。まずはこのタイトな作りがすばらしいです。引き締まった脚本、無駄のない演出。飛行機のトイレの場面などは、エモーションとサスペンスが高まりを見せて非常に密度の高い時空間を形成しています。ラストの父親の家は、建造物がその内側に無限の広がりを持ち始めてしまうというウェス・クレイヴン的空間となっていて、『壁の中に誰かがいる』や『スクリーム』シリーズを想起させます。その家にレイチェル・マクアダムスが車で突っ込んでいくところ(フロントガラスに撃ち込まれる銃弾)、キリアン・マーフィが喉に開いた穴を指で押さえて声を絞り出すという設定、鏡の上に書かれた文字など、映画的な記憶を刺激する細部も数多く持っています。