『愛欲の罠』(大和屋竺)

上野一角座にて。今日が最終日。一角座に行くのは初めてで場所がよくわからず、上野の駅前を20分近くさまよい歩いてしまいましたが、何とか上映開始数分前に劇場にたどり着くことができました。初めての場所に行くときは必ずと言っていいほど道に迷うのですが、それでも事前に地図を見て道順を確認することなど全く思い及ばないのでした。
それはともかく、『愛欲の罠』はとてつもなくすごい映画でした。観逃さずにすんで本当によかったです。距離と接触の映画であり、視線の映画であり、つまりは<映画>をめぐる映画です。ラストシーンで示されるのは<映画>が客席に差し向ける視線(への欲望)であり、その視線が、スクリーンを一方的に見ることができると思いこみ、自分が見つめ返されることなど想像だにしていないわたしたちを、死に至らしめるのです。