『FNS27時間テレビ!!みんなの笑顔ひょうきん夢列島!!』

土曜日のスタート時からエンディングまでほぼずっと見ていました。と言いつつも夜は6時間ほど寝ましたし(なので若手芸人のネタ見せは見逃してしまいました)、日曜日は画面から眼を離して音だけ聞いている時間も長かったですが、それでも日本テレビのも含めてこの種の番組をここまでしっかり見たのは初めてかもしれません。
明石家さんまがエンターテイナーとしてぬきんでた存在であることはもちろんよく理解していましたけれども、正直言ってここ数年彼の番組をまともに見ていなかったわたしにとって、今回のさんま師匠は本当に衝撃的でした。特に土曜日がすごくて、番組スタート時からのテンションの高さが半端ではないわけです。「はねるのトびら」での番組コーナーを破壊寸前まで追い込みかねない超絶脱線ぶりや、笑福亭鶴瓶を前にしての大竹しのぶとの(元)夫婦漫才の完成度の高さには眼を見張るものがありましたし、その大竹しのぶに残ってもらっての「さんま・中居の今夜も眠れない」も、例年これだけは見ているのですが、いつも以上にクオリティが高かったと思います。裏番組に配慮しての「めちゃイケ」冒頭一時間の覆面出演もすばらしかった。誰かが番組内で「お笑いモンスター」と表現していましたが、本当にその通りだと思います。
しかしその明石家さんま以上に強烈だったのがビートたけしでした。番組が始まったばかりの、確か7時台だったと思うのですが、沖縄からのレポートを見たときには正直言葉を失いました。ハブ取り名人という設定のたけしが顔に絵の具を塗りたくって三線を弾きながら登場し、ハブの注意点についてデタラメな解説をしたあげく、ハブを捕りに島に向かうと言いだしてやおら桟橋に向かって走り出し、ボートの手前で海に落ちてしまうという落ち。しかも少し時間をおいてからもう一回同じネタをやるわけです、全く同じ場所で、少しだけ設定を変えて。この人はこれだけのために沖縄に行ったわけなのですが、それだけでは終わらず、一度深夜に東京に戻ってきて、翌朝は北海道に飛んで牧場でひとネタやり、(わたしは見ていないのですが)佐渡島にも行って、最後は東京のスタジオでさんまとナイナイ・岡村隆史の車にペンキで絵を描いたあげく、さんまの車でスタジオ内を走り回り、今田耕司を轢いてしまうという暴走ぶり。ラストもBEGINが番組のために一日で作曲した歌で感動のフィナーレかと思いきや突然乱入してスタジオを大混乱に陥れて終わったわけですが、一時代を築き上げて今や大御所として遇される立場のふたりの芸人が、三宅恵介ディレクターに乗せられて原点に立ち返るかのように現場に戻ったとき、20年の時間が一気に巻き戻って狂気の時空間が生まれるという、そんなすごいものをわたしたちは見ることができたのだと思います。確かに地軸がずれ、世界のたがが外れた瞬間が、テレビ画面に現出していたのです。