『悪魔の起源 −ジン−』(トビー・フーパー)

DVDで。
ラストの、一見セオリー無視と思われる展開に驚かされたものの、ここで語られているのは「ジン」の側から見た物語なのだということに考えが及べば、無視どころかセオリーに忠実な作りになっていることが理解できます。つまり、ここでの「悪人」は子供を手にかけた妻であり、だからこそ彼女は正しくビルの最上階から落下するのです。
そうやって振り返ると、全編を通していささか性急でバランスを欠いて見えたホラー演出についても納得がいきます。この映画はホラーというより、サスペンスに分類されるべきものです。そしてその点にこそ、トビー・フーパーの倒錯的な野心があるように思います。