『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』(CRAFTWORK)

GW中に終わらせる予定だったもう1本のゲーム、ようやくクリアしました。
プレイしたのはDL版。発売(配信)開始直後に始めたので4か月ぐらいやっていたことになりますが、途中休止期間を挟みつつなので実質的にはそれほど長い時間かかっているわけではありません。わたしとしてはこのくらいの長さがちょうどいいです。


「電波ゲー」などと評されもする本作ですが、噂に違わぬおもしろさで、おおいに楽しむことができました。「狂気」をめぐる演出とシナリオが実に巧みです。すべての選択肢が「フェラチオさせる」になるあの有名な場面や、場所を示すテキストと表示される背景画像が食い違うところなど、語られる物語だけでなく、描写方法の水準で「狂気」が「狂気」らしく描かれます。「狂気」がカッコつきになってしまうことは、エンターテインメント作品としてある意味致し方のないことです。物語としての「狂気」を的確に描こうとするなら、描く側は「正気」にならざるを得ません。このゲームもまた例外ではなく、表現が巧みであり的確であればあるほど、描く主体とプレイする主体はより一層「正気」の側に押しやられます。
おそらくこのゲームの美点は、丁寧で端正なテキストにこそあるというべきでしょう。テキストゲームとしては、それは最上級の賛辞であるはずです。