『ファイナルファンタジーXV』(スクウェア・エニックス)

PS4版をプレイ。本日トロフィーコンプリートしました。現時点のプレイ時間は90時間。発売日1週間後の12/6からスタートして12/28にクリア。クリア時のレベルは63(ノクティス)、プレイ時間は58時間21分でした。現在のレベルは全員99。難易度は最初から最後までノーマルです。


以下、ネタバレ感想です。
















度重なる開発遅延とその結果としての開発陣交替や、体験版での多数のバグ報告、ボリューム不足の噂など数々の不安要素が重なり、「ファイナルファンタジー」のナンバリングタイトル発売前に期待より不安が勝ったのは今回が初めてでした。それがハードル下げになりかえってよかったのか、実際に遊んでみて、一定の留保はつくものの、総じておもしろかったと言える出来だと感じています。


まず10時間足らずで終わるなどと噂されたボリュームについてですが、実際にはそんなことはなく、充分以上の要素があります。90時間やっても未クリアのサブクエストやモブハントが残っており、まだまだ遊び続けられそうです。10時間未満というのはサブクエストをまったくやらずにストーリーのみ追っかけた場合の最短時間ということのようですが、逆に言えばとりあえずストーリーだけ知りたい人は10時間程度でクリアできるし、反対にこの世界をじっくり味わいたい人には広大な世界とたっぷりのサブクエストをもって応えるという、両方のニーズに対応できる懐の深さがあり、よくできていると感じました。


男4人で車に乗って旅をする、とだけ聞けば「なにそれ楽しいの?」と思ってしまいますが、実際に各地のサブクエストをこなしてあちこちと移動を続けていると、この世界への親密度が少しずつ上がっていき、キャラクターたちへの愛着も出てきます。またそのことによって終盤の展開が活きてくるという面もあり、序盤の方でサブクエストをみっちりやることが、おそらくはこのゲームの正しい遊び方なのだと思います。




ストーリーについて。(11、14を除く)歴代のナンバリングタイトルのなかでも一見異色の内容であり、地震津波、荒廃した都市といった3.11を想起させる要素が多数あります。3.11後の物語を「ファイナルファンタジー」的に解釈し直したと言うべきか、それとも逆に「ファイナルファンタジー」的な世界観を3.11的に再解釈したと言うべきか…。とはいえ、地震=タイタン、津波リヴァイアサン、吹雪=シヴァ、火災=イフリートというのは、自然災害を超越的な存在による仕業と捉えて各地の神話が産み出されたことを考えればごく当たり前のことで、そこに目新しさはありませんし、特段変わった思想的主張が繰り広げられるわけでもありません。王道RPGとしてのビルドゥングスロマンを、3.11後の世界を舞台に語るという、非常にシンプルなストーリーであり、その点には好感を持ちました。


もうひとつの特色として、ゲーム外の作品との連動性があります。映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』とアニメ『BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV』がそれで、特に映画を観ていないとニフルハイム帝国によるインソムニア侵略の過程がまるでわかりません。あくまで主人公・ノクティスの視点で知り得ることのみを描くというコンセプトなのだと思いますが、もう少し自由な視点切り替えがあってもよかったのではないかと感じました。というのも、不満点のひとつにレイヴスの扱いがあって、ゲーム内の登場シーンが極端に少なくちゃんとした描写がないため、13章ボスとしてシガイ化した彼と戦う際に、なんの情感も沸いてこないのです。レイヴスには背景があり、ルシス王国やレギス王に対する憎悪や妹であるルナフレーナへの想いなどが重なって、母国テネブラエを滅ぼした憎むべき帝国であえて軍人としてのし上がる道を選んだ人物なわけで、その彼がアーデンのたくらみの犠牲となりシガイと化してしまうという物語は、ちゃんと語ってほしかったです。


ストーリーに関するもうひとつの不満はアーデンです。ラスボスとしての魅力は感じられるものの、中盤で彼が主人公たちを助けてまわるのはどうにも釈然としません。いや、敵国の宰相であるはずの人物がそういうことをする不気味さを演出したいのはわかるのですが、手助けされすぎて緊張感がまるでないのです。そしてその手助けの理由が「強くなった主人公を倒したいから」。いやそれはそれで理解できるけれど、頭で納得できるだけの理由では情動に結びつかず、結果として薄っぺらく見えてしまいます。また、先に書いた主人公視点の制限のためでしょうか、アーデンがやったシガイ化実験もその結果だけを後追いで知るかたちになり、総じて描写不足を感じました。




システムについて。「ファイナルファンタジー」シリーズのバトルシステムには毎回新しい挑戦があり、楽しみのひとつです。今回は特にマップシフトとシフトブレイクがトリッキーで非常におもしろかった。バトルシステムは攻撃方向を自由に選べたりとアクション寄りに作られていますが、実際に遊んでみるとさほど難しくはなく、爽快感というか実際に戦っている感触を強く得られて、オープンワールド形式の世界にはあっていると感じました(というかこうなっていないと違和感があるはず)。


他方で、ダンジョンや章ごとに異なる仕組みが入っていて、これも従来あまりなかったことのように思います。いろんなゲームが混ざっているような感覚で、これはおそらくストーリーを表現するために展開に合わせた異なる仕組みを入れているということなのでしょう。若干のつぎはぎ感・不統一感は否めませんが、違和感とまではいきませんでしたし、納得できる仕様です。悪評高い13章についても、格別不満はありませんでした。完全に『バイオハザード』ですけどね。


キャンプや車やチョコボなどの移動手段やキャンプとレベルアップのシステムなどは、さすがによく考えられています。移動と言えばファストトラベルが非常に便利なのですが、ちょっとした距離でも長いロードが入るのには閉口しました。ファストじゃなくなってますよね…。


スキルですが、勝手に上がる写真は別として、サバイバル>調理>釣りの順でトロフィーを取得しました。釣りは終盤まで仕組みを勘違いしていて糸切れを連発し、大変苦労しましたが、理解できるとおもしろいですね。あれだけで独立したゲームとして楽しめます。
アビリティは現時点でまだ多数未取得のものが残っていて、もう少し緩和されてもいいと思います。




あれこれ不満を書いてしまいましたが、最初に書いたとおり、全体としては満足しています。特に物語に寄った作りになっている点は高く評価したいです。
とはいえ、次の『16』はここまで時間をかけないでほしいし、あまり大がかりに作らなくてもよいのではないかと思います。もう少しちいさな規模でよいので、もっと早く出していただければ。


さて、『FF15』についてはいったん休止し、購入済みのシーズンパスのコンテンツ配信待ちとなります。キャラごとの追加ストーリーは楽しみです。