『キル・ビル Vol.2』(クエンティン・タランティーノ)

BDで。2回目。
初見時に比べて楽しめましたが、やはり長すぎるとは感じました。この物語を語るのにこんなに尺が必要とは思えません。とはいえ、映画を長くしている要素のひとつにたとえば「顔をぬぐう」という演出があり、デヴィッド・キャラダインユマ・サーマンの顔についた血をハンカチで拭き取る『Vol.1』のファーストショットから、そのデヴィッド・キャラダインが地面に倒れ伏す姿を眼にしたユマ・サーマンが自らの頬をつたう涙を手のひらでぬぐう『Vol.2』ラストに至るまで、『キル・ビル』の登場人物たちは顔に付着した液体をぬぐう仕草を執拗なまでに演じてみせ、そしてその仕草が活劇的な緊張感をフィルム全体に行き渡らせるのを眼にすると、長さもそのすべてが無駄とは言えず、この作家なりのリズムが要請したものであることは理解できるのです。
あと、『Vol.2』でマイケル・マドセンダリル・ハンナがトレーラーハウスで話をする場面を捉えたショットがとても好きで、あの一見無造作に見えるキャメラ位置は実に素晴らしいと思います。