『柔道龍虎房』(ジョニー・トー)

DVDで。2度目。


記憶していたよりずっとおもしろかったです。相米慎二を想起させられる、というと言い過ぎでしょうが、過激なアイディアがこれでもかとばかりに詰め込まれていて、実に刺激的な映画です。たとえばバーでルイス・クーたち3人が演奏しているところに、ヤクザ、道場の師匠、芸能事務所のマネジャー、バーのオーナーがやってきて3人と別々に話をするのですが、同時進行する3つ4つの独立した会話を短いショットでつなぎつつ、チェリー・インが「売春」という言葉を口にすると全員が思わず振り向いてしまうところや、そこからトイレのシーンをはさんで乱闘になり、「姿三四郎」の歌が朗々と歌われるなか、レオン・カーフェイが椅子に腰掛けて悠然と酒を飲むさまや、賭場ですった大金をチェリー・インがつかんで逃げ出す場面で、道にばらまかれたお札を追っ手とチェリー・インが拾い集めたり、いったんその場を逃れた彼女が、自分をかばったルイス・クーの靴を拾いにまた追っ手の眼の前まで戻るところなど、挙げていけばきりがありません。


『柔道龍虎房』は2004年の作品で、IMDbによると同じ2004年には『ブレイキング・ニュース』が、翌2005年には『エレクション』が公開されているようです。ジョニー・トーの脂の乗りきった時期のフィルムです。

柔道龍虎房 [DVD]

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