サッカー・ワールドカップ観戦・その10

イタリア×フランス 1-1(5-3)
 
勝戦。あまりのことにショックを受けて、会社から帰ってもう一度ビデオで最初から最後まで観直しましたが、それでもいまだに衝撃から立ち直れていません。試合展開から言ってもジダンという人の性格から言ってもこうなることはある程度予測できたと友人は言いますし、ああいう出来事自体は決して特別な事件ではない、それはよく理解できるのですが、あの頭突きの場面がリプレイで映し出されるのを眼にした瞬間、わたしはとにかくビックリしてしまったのでした。
試合の出来としてはひどいものだったと言う人もいるようですが、もちろんいいゲームだったとは言い難いですけれど、わたしはそれなりに楽しんで観ていました。わたしはアンリが好きです。ゴール前で見せるあのしなやかですばしっこくてエロティックな動きには魅了されます。ジダンのプレイにも冴えがあって、ふっと流れを変えるワンタッチのパスがアンリに通る瞬間など、ドキドキさせられます。前の対ポルトガル戦があまりな内容だったので、よけいにそう見えたのかもしれません。でもだからこそ、そのジダン自身が試合を(そしてワールドカップ全体を)破壊したことには、行為の道義的な是非を超えて、とにかくショックでしたし、今でもショックです。
いずれにしても、このことについてはすでに多くの人が語っていますし、そこにあらたに付け加えることもありません。実際に何があったのかについても、それほど興味を持てません。
イタリア代表は優勝に値するチームです。カンナヴァーロはやっぱり尊敬に値するプレイを見せてくれましたし、ピルロもすばらしかったと思います。
 
今数えたら64試合中35試合観たようですが、そのなかで心に残ったゲームを挙げると、グループリーグのアメリカ×チェコ戦、アルゼンチン×セルビア・モンテネグロ戦、決勝トーナメントのアルゼンチン×メキシコ戦の3つとなります。これに加えてドイツ×アルゼンチン戦(のリケルメ交代まで)とドイツ×イタリア戦の2試合も、とても大きな意味を持つゲームでした。多くの人がベストゴールとして口にするアルゼンチン×セルビア・モンテネグロ戦での2点目、あのゴール前でめまぐるしく細かいパスをつないだ末のカンビアッソのシュートは今も眼に焼き付いていますし、対アメリカ戦でのチェコも美しいの一言に尽きるゲームを見せてくれました。そしてもしアルゼンチンがドイツ戦で守りに入ることなく戦い抜いて勝ち上がったとしたら、イタリアやフランス相手にどんな試合をしたことだろうかと、今はそればかりを夢想しています。