あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします。


昨年は仕事関係でなにかと落ち着かない一年でした。仕事そのものも忙しくなり、もろもろの消化も滞る一方ですが、おおきな病気もせずなんとかやってこられたわけで、まずはよしとせねばなりません。もうその程度でも満足せねばならない歳です。多くを望むことはできません。
…なんだか正月から辛気くさい雰囲気になってまいりましたが、気を取り直して、いつものヤツを以下に書き連ねておきます。なお、本についてはろくなものを読んでいないため該当無しです。




● 映画…『リンカーン』(スティーヴン・スピルバーグ


2013年はほとんど映画を観ませんでした。DVDで観たものとアニメを含めても7本というのは、間違いなくここ20年でいちばん少ないです。黒沢清青山真治の新作を封切りで観逃したのもひさしぶりのことですし、ゼメキスもビグローもカラックスもスルーしてしまいました。ここまで来るといっそすがすがしいわけですが、ブルーレイが出るとつい買ってしまうあたり、われながら往生際が悪いとも思います。
そんななかで唯一観逃さなかったスピルバーグの新作の異様なたたずまいが、折に触れ思い出される一年でした。ダニエル・デイ=ルイス演ずるリンカーンをはじめとして、登場人物たちがみな亡霊じみているあたり、まるでソクーロフの映画のようでした。




● アニメ…『有頂天家族

 
今年もまたアニメ三昧の日々でした。『有頂天家族』は脚本・演出ともに文句なしにすばらしかったです。アニメ表現のある種の達成を示していたように思います。ほかは、京都アニメーションの2作品『たまこまーけっと』『境界の彼方』と、中村健治監督の『ガッチャマンクラウズ』が刺激的でした。




● 音楽…やなぎなぎ『エウアル』、Chelsea Light Moving『Chelsea Light Moving』

Chelsea Light Moving

Chelsea Light Moving


昨年わたしのiTunes/iPodでもっとも再生回数が多かったもの(シングル曲を除く)。やなぎなぎさんのメジャーファーストアルバムと、サーストン・ムーアさんの新バンドのファーストアルバムが同じ回数でトップでした。後者はサーストンさんのこれまでの仕事のなかでもベストと言うべき出来映えだと思います。なぎさんの「ビードロ模様」は何度聴いても涙がこみ上げてくる名曲です。アルバム初回盤についてきたカバー曲集もとてもよかったです。


ところでこの年末、急にプリンスブームが到来しまして、ひたすら殿下のアルバムを聴きまくっておりました。デビュー作『For You』あたりからスタートして、買い逃していた『20ten』も入手し、とにかくかたっぱしから聴き続けていました。いっそこのブログで全アルバムレビューでもやろうかと思ったほどですが、わたしが書くのよりずっと詳しく読み応えのあるレビューがネット上にたくさんあることに思い至り、すんでのところで恥をさらさずに済みましたがそれはともかく、ひととおり聴き返してみて、プリンスは過去の人などではなく、今日でも充分に刺激的であることを再確認することができました。キレキレの全盛期(わたしが思っているプリンスの全盛期は『Sign'O'the Times』前後の時期ですが)だけでなく、新聞付録の最新作『20ten』も、3rdeyegirlとの新曲「Fixurlifeup」も、「昔すごかったあの人の新作」というレベルには収まりきらない、実に刺激的な楽曲たちです。


もうひとつ、ルー・リードさんの訃報は、2013年でいちばんショックな出来事でした。好きなミュージシャンはたくさんいますが、ルーさんはわたしにとって別格でした。ヴェルヴェッツの「Rock & Roll」に、これまで幾度勇気づけられてきたことか。『Set the Twilight Reeling』や『Ecstasy』は何度も何度も繰り返し聴き続けているアルバムです。…などと、いくら書き綴っても詮ないことです。ルーさん、ありがとうございました。お疲れ様でした。



 
● ゲーム…『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』(スクウェア・エニックス


わたしは旧版(ver.1.0)のローンチ直後からプレイしていた、いわゆる「レガシー」プレイヤーです。と言いつつ課金だけしてほとんど遊べていなかったわけですが(カンストクラス/ジョブは旧版終了時にひとつしかありませんでした)、旧版にはそれなりに愛着がありましたし、いちから作り変えることの必要性を頭で理解しつつも、世界が変わってしまうことにはいくらかの不安も感じていました。
昨年11月の旧版サービス終了から、われわれプレイヤーにとっては決して短くない期間(もちろん作り手側にとっては短すぎる期間だったでしょう)を経て、8月末の新生版サービス開始を迎えたわけですが、実際にβテスト時からプレイしてみて、以前感じていた不安は杞憂に過ぎなかったこと、非常に魅力的な世界に生まれ変わったことを実感していますし、結果的にこの作り変えは成功だったとも感じています。単純に言ってゲームとしてとてもおもしろいです。インターフェースやシステムまわりもよく考えられています(わたしは旧版でインスタンスダンジョンに行ったことがなかったのですが、新生ではコンテンツファインダーのおかげで通い詰めています。14はダンジョン攻略がとにかく楽しいのです)。ライト向けにもコア層にもケアの行き届いたコンテンツ配置やバランス調整も、非常によくできています(プロデューサー/ディレクターの吉田さんの才能は、このバランス調整の絶妙さにこそあるとわたしは思っています)。


そんなこんなで新生エオルゼアの世界を楽しんでおりますが、それでも時々、旧版のあのだだっ広いマップ(「コピペマップ」と揶揄されもしたあのマップ)を、懐かしく思い出しもするのです。あのなにもない世界のただなかでぽつんとたたずむような感覚は、いろんな遊びであふれかえった新生版にはないものかもしれません。しかしそれも、贅沢な感傷に過ぎないのでしょう。