『CHAOS;CHILD』(MAGES./5pb.)

CHAOS;CHILD - PS4

CHAOS;CHILD - PS4

科学アドベンチャーシリーズ第4弾。PS4版で本日トロフィーコンプリート。プレイ時間は不明ですが、『いけにえと雪のセツナ』終了後すぐに始めたので、3ヶ月半かかったことになります。


以下、ネタバレ感想です。
















結論から言うと非常におもしろかったです。メインシナリオライターが過去3作品と別の人(梅原英司)になり、『CHAOS;HEAD NOAH』が大好きな自分としては少々不安だったのですが、共通シナリオやトゥルールートについては癖のないテキストで、引っかかりなく読み進めることができました。物語がどぎつい内容なので、テキストはニュートラルなぐらいがちょうどいいんですよね。


物語は意表を突く展開に満ちていて、中だるみなく緊張感が維持されます。構成がよく練り込まれていると感じました。殺害方法のヴァリエーションも実に豊富で飽きさせません。共通シナリオの終盤に意外な人物をラスボスとして提示しておいて、トゥルーでさらにもうひとりの(真の)ラスボスを出してくるという、非常に凝ったこともやっています。わたしとしては真のラスボスは最初からうさんくさく感じていたので「ああ、やっぱり」という感想だったのですが、ひとりめのボス(中ボス?)が予想外でした。というか禁じ手ですよね、あれ…。


構造としては、まず選択肢関係なく同じ展開になる長めの共通シナリオがあり、エンディング後に4ヒロインの個別ルートが開放され、4ヒロインのエンディングをすべて見ると最後にトゥルールートが開放される、というかたちになっています。ヒロイン個別はさほど長くはありません。
乃々ルートはトゥルーに次いで重要な位置づけだと感じました。病院地下の実験に立ち会っていたことは序盤からほのめかされていましたが、まさかああいう真相とは…。雛絵ルートはラストを除けばいわゆるギャルゲー的な展開で、雛絵好きとしては大満足でしたが、『CHAOS;CHILD 公式資料集 Here Without You』のシナリオライター座談会でも語られているとおり、主人公に寄り添うヒロインが最終的に彼女だけになってしまうこともあり(久野里さんもいるのですが、彼女はヒロインになり得ないので…)、プレイヤーが好意を感じてしまうのはある意味必然なのかもしれません。華ルートを読みつつ、これは絶対林(直孝)さんのテキストだと思っていたらやはりそうだったようです(前掲書)。ナイトハルト登場には思わずニヤリとしてしまいました。


トゥルールート(世莉架ルート)は共通シナリオの起伏の激しさからすると落ち着いた静かな展開で、その対比が非常によかった。全体として語られているのは相手への無償の贈与の物語と言えますが、共通ラストで真相が明らかになったとき、それが反転するわけです。そして最後、無償の贈与に無償の贈与を返した主人公・宮代拓留と、その贈与をすべて理解したうえで受け入れた世莉架のふたりが交差するあの静けさに至る。実によく考えられた構成だと思います。




不満点をいくつか。ヴォイスとテキストのズレや誤植が少々気になりました。あと妄想トリガー。『CHAOS;HEAD NOAH』の主人公・西條拓巳が「妄想」することには設定上物語上の必然があり、それがあの物語の核心でもありました。それに比べると、今作の主人公が日常的に妄想するその強度は、どうしても劣って見えてしまいます。いやもちろん、子供の頃の主人公の強い妄想が今作の物語の出発点なわけで、その意味では今回も「妄想」は重要なキーワードになっているのですが、実際のところそれは「妄想」と言うより「願望」と呼ぶべきものなわけですし、少なくとも現在時点での主人公の妄想力には物語を分岐させるほどの強烈さはないように思いました。


ともあれ、最初に書いたとおり総じて大満足です。3/30発売の『らぶchu☆chu!!』も楽しみにしています。