あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします。
以下、年始恒例の昨年ベスト1です。




● 映画…『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド


DVD・BDなど含めて全部で76本、うちスクリーンで観たものが11本。映画館にはあいかわらず行けていませんが、近年ではもっとも本数を観ることができました。買いためたDVD・BDの消化が急務であることに加え、休日に外出しづらい事情もあり、今年もこんな調子になると思います。
ベストはスクリーンで観たもののなかから選びました。年末に読んだ某紙の記事で、この映画に触れて「事件の真実を正しく伝えようとする真摯な姿勢に心打たれた」というようなこと(表現はこの通りではなかったと思いますが、おおむねこんな内容でした)が書かれているのを眼にしてとても驚いたのですが、このフィルムで語られているのは再現に対する演出の優位であったはずで、つまりSully(原題=主人公の名前)とは映画作家にほかならないのですが、そのことが決して全面的肯定としてではなく、いくばくかの後ろ暗さをもって語られることにこそ、あのフィルムの「倫理」があったと思うのです。
ほか、黒沢清の2本は素晴らしかったです。ロバート・ゼメキスの『ザ・ウォーク』も傑作でした。




● アニメ…『響け!ユーフォニアム2』


昨年もアニメはそれなりの本数を見ました。とはいえ放送された全作品の半分以下なのですが…。
ベスト1となると『響け!ユーフォニアム2』以外あり得ません。1期も含め、これは相米慎二的な意味での口唇器の物語であり(傑作『東京上空いらっしゃいませ』を想起させられます)、ひとつひとつ孤独に振動していた口唇器たちが不意に連帯する瞬間をめぐる物語です。2期では姉から妹へ、先輩から後輩へとその振動が継承されるさまが描かれますが、その受け継ぎは馴れ合いを排しあくまで孤独に行われます。なぜなら口唇器は孤独に振動するしかないからです。連帯は瞬間的に成立するのみで、都度都度更新されざるを得ません。このことは、たとえばコントラバス(弦楽器)奏者・川島緑輝が部外者的立ち位置に置かれることからも、逆説的に理解されます。
次点は『ふらいんぐうぃっち』と『灼熱の卓球娘』。前者は描写の丁寧さ、後者はいわゆる日常系に見えてその実狂気をはらんだ登場人物たちが繰り広げる試合シーンの強烈な演出(とBGM)が、それぞれ素晴らしかったです。


ここ数年本数を絞りたいと言いつつまったく実現できていませんが、アニメも買いためたBDが大量に眠っていますので、今年こそテレビ放送分の視聴本数を減らし、あいた時間をBD消化に充てたいと思います。




● 音楽…toddle『Vacantly』

Vacantly

Vacantly


toddleの5年ぶりの新作がiTunes/iPodでもっとも再生回数の多かったアルバムでした。とはいえ、今年春先のiTunesのバージョンアップで再生回数がリセットされてしまったので、その記録が残っていたら違う結果だったかもしれません。
その他でよく聴いていたのは一昨年に引き続きSuchmosと、麻枝准のツイートで知った藤岡みなみ&ザ・モローンズでしょうか(「ド忘れ in the night」は名曲です)。数年続いたPixiesブームも落ち着いて、昨年はひとりのミュージシャン/バンドを集中的にというのではなく、いろいろなものを平均的に聴いていたようです。




● ゲーム…『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』(CRAFTWORK


まともに終えたゲームが4本しかありませんが、ながらくやりたいと思っていた本作をプレイできたことは、本当によかったです。
ファイナルファンタジーXIV』も継続中です。




以上です。読書量はあいかわらずなのでベストは挙げません。


わたしは好物を後に残すタイプの人間で、本当に観たい映画よりもどちらかというと自分のなかの重要度の低い映画を先に観ることを選んでしまうし、大事にとっておきたい本よりすぐに処分できそうな本から読み始めてしまうので、結果としてこれは観なければ/読まなければならないと思っているDVDや本やゲームが未着手のまま大量に部屋に積み上げられているのですが、そろそろそういう生き方を変えるべきだと考え始めていて、今年こそは本当に読みたいものを読み、本当に観たいものを観るよう心がけたいと思っています。
まあこういうのって身体に染みついている習慣のようなものなので、すぐに変えるのは難しいかもしれませんが。