『sakusaku』

ジゴロウとペパーの降板の件は昨夜ネットで知って大変ショックだったのですが、スタッフと視聴者が時間をかけて作り上げてきたキャラクターが飽きられたわけでもないのに唐突に画面から姿を消してしまうというのは実際悲しいことだと思うし、「権利関係のもつれ」が原因のごたごたとしては最悪に近い事態ではないかとも感じます。ファンとしては、このトラブルがこれ以上こじれたりしないことを(法廷に持ち込まれたりしないことを)祈るばかりです。
しかし他方で、この事態をどう番組内的に処理するのか、すなわち視聴者にどのように説明しつつ今後の番組展開を組み立てていくのかに関しては、不謹慎ながらとても興味があります。そもそも『sakusaku』ってメタレベルを幾重にも織り込んだ作りをしていて、画面にうつっている人形=ジゴロウがいて、そのジゴロウを操る「黒幕」というのがいて、この人自身もホッケーマスクをかぶったりしてキャラを演じていることを前面に押し出していて、先週はさらにその「黒幕」を操るというモノリス状の物体まで出てきましたけど、そんな「黒幕」やら「ご意見番」やらは画面の向こう側・裏側にいるかのように見せつつも、その実ちゃんと画面にうつっていて、つまりはメタ=ベタな構造になっているわけです。この構造はガンダムやらジブリアニメやらのサブカルチャーをネタに取り込むあたりからもうかがえるでしょう(ベタ=メタとでも言いますか)。このこと自体は特に目新しい手法でもなんでもなくて、80年代後半から90年代にかけて作り出されてきたものだとは思うのですが、アニメやゲームにおける「世界観」なども含めて、メタ=ベタ手法が『sakusaku』のようなタイプの番組として像を結ぶことと、その手法の洗練・徹底ぶりがこの番組の楽しさだと思うんです。
で要するに何を言いたいかというと、この「大人の事情」というさらなるメタレベルを、どうベタに持っていくかという力業を、ちょっと期待していたりするのでした。