『サスペリアPART2/紅い深淵』(ダリオ・アルジェント)

さっそく買ってきたこれを観ました。完全版と公開版が収められていますが、今日は完全版を観ることに。
ダリオ・アルジェントは大好きな映画作家です。もう「大好き」としか言いようのない感じで、もちろん世の中にはもっとすぐれた映画作家がいっぱいいるし、作品的にも映画それ自体を揺り動かすような傑作というのとは違うわけですけど、そんなすぐれた映画作家・映画作品のいくつかよりも、ダリオ・アルジェントと彼のフィルムの方に、強く愛着を感じてしまうのです。デビュー作『歓びの毒牙』に始まり、『シャドー』『サスペリア』『フェノミナ』『トラウマ/鮮血の叫び』『スタンダール・シンドローム』『スリープレス』などなどのいくつかのショットが、あるとき不意に、なんの脈絡もなく頭に浮かんだりすることがあって、その強烈なイメージから受けた衝撃の残響のようなものがいまだに身体のうちに留まっていて、それが何かの拍子に意識の表層に甦ってくるということなのでしょうが、とにもかくにもこれらの作品が好きで好きで、何度でも繰り返し観てしまうのです。
サスペリアPART2/紅い深淵』ももちろん大好きな作品で、個人的にはアルジェントのベストだと思っています。ある意味、この映画にはアルジェント作品の主題のすべて*1が圧縮され、非常に美しいかたちで定着されているように思います。殺人シーンはそのどれもが鮮烈で、ほかにも冒頭の劇場の場面や中盤の家の壁をはがすシーン、小学校の場面など、すばらしいの一言に尽きます。デヴィッド・ヘミングスが最初の殺人を目撃するあの広場のシーンでは、フェリーニの感触を思い出しました。

*1:突き刺すこと、切断すること、目撃すること、母親と子供、家族の秘密、トラウマ、家・建物、動物、etc.etc...