『メリンダとメリンダ』(ウディ・アレン)

恵比寿ガーデンシネマにて。今年2本目の劇場公開作品となるウディ・アレンですが、『さよなら、さよならハリウッド』ほどではないにせよ、今回もおもしろく観ることができました。同じ設定から悲劇と喜劇の2パターンの物語を語るというアイディア自体はどうということはないけれど、ふたつの物語を簡潔に語り分ける演出のこなれたさまはさすがで、しかし、と同時に決して決定的な瞬間をキャメラに収めることもまたないわけで、例えばビストロでの食事中、ラダ・ミッチェルが席を外した隙に、クロエ・セヴィニーキウェテル・イジョフォーが互いの愛を確認しあう場面、あそこのアップなんて実にひどい。だから演出の簡潔さといっても慣れによるものではあるのだけど、そんな慣れでさえも現在観られる映画の中ではそこそこ貴重なもののように思います。
ウディ・アレンが自身の身体を主題化した作品の方がそうでないものよりも好きだというのは変わりません。今回の映画ではウディ・アレンの役をウィル・フェレルが演じているのですが、少々はまりすぎでいかにもといった演技がいやらしく感じられました。でも、競馬場でラダ・ミッチェルとデートするシーンは悪くなかったです。
なお、キャメラヴィルモス・ジグモンドでした。