『Mr.&Mrs.スミス』(ダグ・リーマン)

新宿プラザにて。『ボーン・アイデンティティー』がおもしろかったので楽しみにしていたダグ・リーマンの新作。初の大作ということで少し心配ではありましたが全くの杞憂で、前作同様堂々たる出来映えでした。ブラッド・ピットアンジェリーナ・ジョリーが互いの命を狙って銃を乱射し激しく殴り合い、さらには協力し合ってふたりを抹殺しようとする組織の殺し屋たちに立ち向かい、ハイウェイでのカーチェイスやらショッピングセンターでの銃撃戦やらを繰り広げたあげく、結果ふたりは夫婦の危機を乗り越えて一層絆を深めましたという話なわけで、あれらの壮絶きわまりない騒動のすべてが夫婦間の問題の解消と信頼関係の深化にしか貢献しないという徹底したばかばかしさが実にいいのです。お隣さんたちやヴィンス・ヴォーンらにしてみれば何ともはた迷惑な話ですが。ロッククライミング、ビルからの宙づり降下、向かいのビルにワイヤーを撃ち込んで滑走するなどの非=落下系の運動体であるアンジェリーナ・ジョリーが、ブラッド・ピットとともに自宅をなんのためらいもなしに破壊し尽くす場面は、めちゃくちゃななかにも細かい芸が仕込まれていて楽しかったですし、モーテルの場面もちょっと好きです。
(12/12加筆修正しました。)