『地獄の逃避行』(テレンス・マリック)

DVDで。終盤近く、逮捕されたマーティン・シーンがまわりに集まった警官たちにペンやらライターやらの小物を無造作に放って渡す、その仕草がとてもよくて、「投げる人」マーティン・シーンなどと言うのはなんだかためらわれますが、映画の最初からマーティン・シーンはりんごの芯やら石やら土塊やらいろんなものをあたり構わず放り投げていたのでした。
いくつかの美しい場面を思い出します。例えばウォーレン・オーツが娘(シシー・スペイセク)の飼い犬を撃ち殺し、その死体を橋の上から川に落とすところ、マーティン・シーンに腹を撃たれた男が家に戻ってベッドに座り込み、抵抗するでもなくゆっくりと死んでいくシーン…