『ワールド・トレード・センター』(オリヴァー・ストーン)

新宿プラザにて。
映画のラストでニコラス・ケイジが助け出される場面、闇の中に四角くあいた白い窓に人びとの顔が現れ、次々と手が差しのばされるというニコラス・ケイジの主観ショットがあって、ありきたりだと言えば言えなくもないのですが、わたしはこれにすっかりやられてしまいました。不謹慎を承知で言うなら、埋葬(生き埋め)とそこからの復活という主題には、やはり「映画」的ななにかがあるような気がしますし、例えば前半でWTCに駆けつけたマイケル・ペーニャたちが、呆然と立ちつくしたまま、そろって上空を見上げるショットなども、事態の深刻さとは無関係に「映画」としか言いようのない瞬間を形作っています。そもそも、暗闇のなかで身動きもせずにじっと宙を見つめ続ける場面が延々と続くこのフィルム自体、「映画」そのものの物語を語っているのだと言えなくもありません。
テレビのニュースを見て現場にやってきて、結果的に生き埋めになったニコラス・ケイジたちを発見することになるあの海兵隊員の、使命感に満ちた落ち着き払った態度も実に異様で、そしてそれ故に魅力的です。