『サスペリアPART2/紅い深淵』(ダリオ・アルジェント)

DVDで。以前の感想はこちら
前にも書きましたが、この映画にはダリオ・アルジェント的な主題のすべてが詰め込まれています。『トラウマ』の「母親」も「首の切断」もこのフィルムに起源を持っていますし、主人公は(そして映画を観ているわたしたちもまた)事件が起こった際にちゃんと真犯人を目撃しているにもかかわらず(真犯人の姿がしっかりと画面に映し出されていたにもかかわらず)、そのことに気づかぬまま物語が進行するという点も同様です。この映画における「部屋」はこれまたダリオ・アルジェント的な「家」の壁に塗り込められていて、壁を打ち壊して「部屋」を見つけ出した主人公はそこに光を投げかけ、真相の一端を知ることになります。そしてあの最初の殺人において、主人公の瞳を引きつける部屋の窓…闇の中で光を放って浮かび上がる四角く区切られた映像こそ、わたしたちが「映画」と呼ぶものにほかなりません。そこにおいては音=叫び声が先にもたらされ、映像はあとから来るのですが、この映画の殺人者はカセットデッキで再生される童謡のメロディを耳にすることで、自らの殺人衝動を現実化するのでした。