『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン)

BDで。劇場公開時以来、2度目。調べたら5年ぶりのようです。


とても繊細で美しい、口唇器のフィルムです。主人公のライアン・ゴズリングが隣人のキャリー・マリガンの家に招き入れられ、彼女から水を勧められて、いつもくわえている楊枝を耳にはさむ、そのなりゆきからふたりがいずれ口づけを交わすであろうことは明白なのですが(この時、キャリー・マリガンは唇を指でなぞる仕草までします)、そのキスシーンは突発的で過剰な暴力により断ち切られ、その後ふたたびふたつの口唇器が重なり合うことはありません。最後の電話でライアン・ゴスリングがキャリー・マリガンに別れを告げるとき、彼女はもう一度指で唇をなぞります。ここには口唇器のフィルムの特質である「伝達」の主題が見事に表されています。なにかが確実に、口唇器から口唇器へと伝わっているのです。

ドライヴ [Blu-ray]

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