『セッション9』

DVDで『セッション9』(ブラッド・アンダーソン)を観ました。
最後に全部説明しちゃうそのやり方が、説明のための説明に見えてちょっとしらけるし(その説明自体が狂気による妄想かもしれないということも含めて)、怖がらせの細部もほとんどが物語に直接かかわってこないしで、『CURE』(黒沢清)あたりと比べても心理ホラー作品としてはそれほど完成度が高い映画ではないと思うんですが、それでも必ずしも悪い出来ではないと感じました。
セッションテープがレコーダーで再生される時の音のひずみなども含めて、細かく作り込まれた音響がなかなかよくできており、物語に絡まないとはいえ「怖がらせの細部」もひとつひとつとても丁寧に演出されていて、観るものを飽きさせません。主人公を狂気にいたらしめる精神的圧迫感を、細部を積み重ねていくなかでしっかり描いている。仕事をきっちりやっているという印象で、決して悪い映画ではないです。
DVDなのでよく分からないけれど、これ、フィルムじゃなくてデジタルビデオかなにかを使っているような感じがします(気のせいかもしれないけど)。