『この世の外へ クラブ進駐軍』(阪本順治)

シネマアートン下北沢にて。ロードショー公開時に観逃していて、今日初めて観ました。
亡国のイージス』でも主要登場人物たちは欠損、特に肉親や配偶者の喪失を、それぞれの行動・思想の原動力としていましたが、この作品でもまた、様々な「欠損」が物語を駆動していくことになります。足りないバンドメンバーを探す哀川翔の声、息子を失ったピーター・ミュランと戦死した弟への思いから日本人を憎み続けるシェー・ウィガム。オダギリジョーは住む家を失い、村上淳は行方のわからない弟のためにバンドをやってお金を貯め、その弟は靴を奪われることで片脚を失った池内万作に出会う、といったように。そしてシェー・ウィガムの戦死が、バンドメンバーたちを再び米軍キャンプでの演奏へと導くのでした。
映画の最中、スクリーン上では晴れているのになぜか雷鳴と激しく降る雨の音が聞こえてきて、でも映画が終わって外に出るとすっかり雨は上がっており、濡れた路面と湿った空気が雨の気配をかすかに伝えるばかりでした。