『ハロウィン』(ジョン・カーペンター)

DVDで。今回観たのはオリジナル劇場公開版に、アメリカテレビ放映時に追加撮影されたシーンを加えた「Extended Edition」。
この感触をどう表現したらいいのか見当がつかないのですが…いかにも予算の少なそうな作品ですけれど、一見貧相に見えるかも知れない画面の奥に、なんともいえず豊かな官能が感じられるのです*1。例えば事件の舞台となるあの街。広い通りを挟んで何軒もの民家が立ち並ぶあの感じ、歩道には街路樹が植えられていて、家の前は丹念に整えられた生け垣や芝生になっていて、通りをゆっくりと車が走っていく…アメリカ映画でしばしば眼にするこういった地方の小都市の日常風景が、丁寧に積み重ねられるショットの連鎖によって、とても「映画的」に(という言い方しか思いつかないのですが)描かれる、そのことに強い魅力を感じてしまいます。家の中、家の周囲の撮り方にしても、これ以上ないほどに「映画的」なのです(あの洗濯小屋、あのガレージ、あのクローゼット!)
そしてこの作品でも、最後にブギーマン=マイケル・マイヤーズは2階の窓から落下するのでした。

*1:ひとつには、これがデビュー作となるジェイミー・リー・カーティスの魅力が大きく寄与していると思います。