『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』(キャサリン・ハードウィック)

DVDで。初見。決して悪い映画ではないのですが、『ロード・オブ・ドッグタウン』ほどうまくいっていないように見えるのは、例えばリストカットという要素が通俗的なイメージのままに(いわば無批判に)用いられているからなのかもしれません。逆に言えば『ロード・オブ・ドッグタウン』では場面の選択とその配置がとても繊細になされ、そしてそれが成功している、ということでしょう。それでも、母親の抑圧を耐え難く感じる心性、自分の知らない世界への強い憧憬、それまで仲良くしていた友人たちに感じる疎ましさ、逆にどんどんコントロール不能になっていく娘に対して母親が感じる無力感といったものは、非常によく練り上げられた脚本のもとに丁寧に描かれており、観るものの気持ちを強く動かします。
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