『オール・ザ・キングスメン』(スティーヴン・ザイリアン)

日比谷みゆき座にて。例えばジュード・ロウが新聞社を辞める場面でキャメラが窓の外に出るタイミングひとつとっても、そこに「映画」の確かな手応えを感じ取ることができます。階段の使い方、視線の演出、光線の配置など、決定的な瞬間を鮮やかに作り出すというよりも、しっかり練り込んでセットを作り、ちゃんと考えてキャメラを置いているのがよくわかります。ショーン・ペンが演説原稿を捨てて話し方を変え、聴衆の心をつかみ始める遊園地の場面など、かなりよかったのではないでしょうか。
真夜中のサバナ』のジュード・ロウと『ミスティック・リバー』のショーン・ペンというふたりの俳優から、クリント・イーストウッドの名前を想起してしまうのは早とちりに過ぎるかもしれませんが、物語の舞台としてサバナという地名も出てくるわけで、スティーヴン・ザイリアンも多少は意識していたのかもしれません。
 
ほんの一瞬ではありますが、大好きなフレデリック・フォレストの姿をひさしぶりにスクリーンで眼にすることができたのもうれしかったです。