『消えた天使』(アンドリュー・ラウ)

新宿オデヲン座にて。身も蓋もないほどに救いのない話で、観ていてなんだかいたたまれない気持ちになってしまいました。リチャード・ギア演ずる主人公が執着していた行方不明の少女の遺体(というか遺品)も発見され、物語の冒頭で誘拐された女性も生還するわけで、確かにある種の解決に至ったと言えなくもないのですが、それが全くカタルシスを生まないあたり、「精神的葛藤」や「成長」を物語から排除する手つきは徹底しています。退職間際のベテランと配属されたばかりの新人という設定や、ラストの荒野の場面などを観ると、たとえば『セブン』(デヴィッド・フィンチャー)を思い出したりもするのですが(もちろん『セブン』に限らず、よくある設定であり、よくある物語構造なのですが)、犯人側のカタルシスすらここにはないという…。