『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(ダリオ・アルジェント)

シアターN渋谷にて。ダリオ・アルジェントのベストの仕事とは言い難いかもしれませんが、かといって退屈な駄作というわけでは全くなく、いわく言い難い魅力を持つフィルムです。たとえば博物館で女性副館長が惨殺される場面、どこからともなく現れた猿が机の上で叫び声を上げるところから、黒い衣をまとった3人(3匹?)の生き物に押さえつけられた副館長がなにかの器具で口の中をぐちゃぐちゃに砕かれ、腹を切り裂かれるまでの一連の流れ、それを目撃して逃げようとするアーシア・アルジェントが猿に追い詰められ、しかし間一髪で館内から逃れ出るあたりの悪夢のような展開はダリオ・アルジェントならではの美しさですし、アーシア・アルジェントが助けを求めて訪れた祈祷師の家で、夜中に天井からするりとロープが下りてきて、それを伝って猿が忍び込んでくるところも、実にいいのです。