『Ever17 -the out of infinity- Premium Edition』(KID/サイバーフロント)

BEST HIT セレクション EVER17  ~the out of infinity~ Premium Edition - PSP

BEST HIT セレクション EVER17 ~the out of infinity~ Premium Edition - PSP

PSP版をプレイ。「infinity」シリーズの2作目。エンディング・シーンタイトル・CG・音楽・ムービー・選択肢100%。総プレイ時間は66時間。
 
以下若干のネタバレあり。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

噂に違わぬ傑作でした。ここにはわたしが美少女ゲームに求めていたもののひとつがあります。ここで語られるのは「構造」をめぐる物語であり、それを語る手口はでたらめかつ荒唐無稽で、アクロバティックな離れ業です。ですから物語のアラを探したりご都合主義的な展開を批判することはいくらでも可能でしょう。しかしそれらはこの際いささかも問題にならない。ここには『STEINS;GATE』の丁寧さはありませんが、かわりにほとんど暴力的とも呼ぶべき力強さがあります。
「構造」をめぐる物語とは、まず第一に、「プレイヤー自身をめぐる物語」というメタフィクション構造についての物語、という意味です。ここで重要なのは、それが(ひとまずは)「メタフィクション」そのものではない、ということです。あくまで「メタフィクションについての物語」であり、物語内に登場する「プレイヤーの視点」も、今まさにプレイしているわたしやあなた自身のそれとは必ずしも一致しません。しかしそのことは、ここでの主題が「構造」そのものであることを否定するものではないでしょう。ここでの主役は、あくまで物語全体の「構造」それ自体と言うべきです。そしてその「構造」とは、このゲームそのものの構造、美少女ゲームそれ自身の構造でもある、というわけです。この自己言及性こそが『Ever17』をすぐれて批評的なゲームたらしめています。