『PTU』

渋谷のユーロスペースで『PTU』(ジョニー・トー)を観てきました。
 
これまで『暗戦 デッドエンド』『ザ・ミッション/非情の掟』と観てきたジョニー・トーの映画のなかでは、一番面白かったです。非常にいい出来なのではないでしょうか。
 
説明を極力省略し、テンションの緩急によって時間を伸縮させる演出法には、ますます磨きがかかっています。冒頭の食堂のシーン(ところであれはいったい何を食べてるんでしょうか?)など実にすばらしく、この場面とラストの銃撃戦を観るためだけに、もう一回劇場に足を運びたくなるくらいです。食堂の場面に続いて、追いかけてきた刑事を、チンピラたちが武器を手にして待ち伏せするくだりも、小太りの刑事が息を切らせて立ち止まりタバコをくわえるショットと、それに続いてすぐそこの角を曲がった陰に4人のチンピラが待ちかまえているショットが、それぞれの長さも含めて、停滞と緊張のコントラストを実に見事に作り出していると思います。
雨の降らせ方や自転車に乗った子供の走らせ方など、どれをとってもサスペンスフルで、90分弱の上映時間があっという間でした。いやー観といてよかった。