『アンソニーのハッピー・モーテル』

帰宅後、口直しに昨日買ったDVDを観ました。
『アンソニーのハッピー・モーテル』。期待の新作『ライフ・アクアティック』が今週末には公開されるウェス・アンダーソンの監督デビュー作です(オーウェン・ウィルソンのデビュー作でもあるらしい)。
 
傑作『天才マックスの世界』に出てくる諸要素が、このデビュー作にはすでに織り込まれています。主人公がまくし立てる口からでまかせの嘘が周囲の人びとを動かして事態を大きく変化させ、子供じみた計画を真剣にたててそれを実行に移すも、現実を前にして頓挫する、といった物語は『天才マックスの世界』そのものと言えるかもしれません。語り口の独特さはすでにこの処女作において完成しています。
この映画を観て、ウェス・アンダーソンオリヴィエ・アサイヤス青山真治ポール・トーマス・アンダーソンらと並ぶ、21世紀の映画作家のひとりであることを再認識いたしました。こんなことを書くと大げさに感じられるかもしれませんが、この映画や『天才マックスの世界』、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を観れば、そこに息づく新しい何かを、確かに感じ取ることができるのです。