『ハメット』

DVDで『ハメット』(ヴィム・ヴェンダース)を観ました。以前ビデオで観て以来2回目、ひさしぶりです。細部をほとんど忘れてました。
 
ヴェンダース自身はこの作品の仕上がりにとても不満だったという話を聞いた覚えがあるのですが、出来は決して悪くないと思います。というかわたしは結構好きです。靴音やタイプライターのキーをたたく音、フレデリック・フォレストの繰り返す咳など音響にも十分に配慮がなされています。警察の取り調べからフレデリック・フォレストが帰ってくると、アパートの狭い階段でかくれんぼをしている子供たちがいて、そこを視線の演出で見せるのですが、そういう細かいところも好ましいです。
人物設定や美術など、ダシール・ハメット的な、あるいはハードボイルド的な細部が凝縮されて詰め込まれているのですが(読んでないから憶測ですが、原作もそうなんでしょうね)、パロディすれすれではありながらも決してそちらには行かず、フィルムノワールへの愛に満ちた作品になっていると思いました。
 
フレデリック・フォレストは大好きな役者さんで、最近は太ってしまいましたけれど、このころはかろうじてやせていてかっこよかったですね。イライシャ・クックJrはさすがの存在感。サミュエル・フラーもちょっとだけ出ています。