訂正・『ハメット』について

昨日の日記で「ヴェンダース自身はこの作品(『ハメット』)の仕上がりにとても不満だったという話を聞いた覚えがある」と書きましたが、その後いろいろ調べたところ、完成に至るまでに非常に長い時間がかかってしまった(7年かかったらしい)ということだけで、監督自身が出来に満足していないという記述は見つかりませんでした。わたしの勘違いだったようです。訂正してお詫び致します。
 
ネットでヴェンダースに関していろいろ調べていたら、日本のファンの方が運営している非公式サイトを発見。そこで知ったのですが、『ミリオンダラー・ホテル』に続く劇映画『ランド・オブ・プレンティ』が年内に公開されるとのこと。さらにさらに!『夢の涯てまでも』のディレクターズ・カット版DVDがドイツでリリースされるらしいのです。完全版が存在するという噂はずっとあって、公開されるような話も一時期出ていたかと思うのですが、ようやく日の目を見るようです。大好きな映画だけに、ぜひぜひ日本版も出してほしいものですね。今年のカンヌに出品されている最新作“Don't come knocking”の公開も待ち遠しいです。
 
『夢の涯てまでも』は公開時に一度観たきりなのですが、ヴェンダースの作品のなかではわたしにとってのベストなのです。『エンド・オブ・バイオレンス』『パリ、テキサス』そして昨日の『ハメット』と、わたしが好きなヴェンダース作品はどれもアメリカ映画に接近しているものばかりで、逆に(こういう言い方は正確ではないし、間違っているとも思いますが)『ベルリン・天使の詩』に代表される「ヨーロッパ的」な作品群については、いい映画だとは思うものの、「アメリカ的」作品群に比べるとそれほど強く惹かれないのです。とはいえ「アメリカ映画」を強く意識して映画を撮り続けているヴェンダースにとっては、「ヨーロッパ的」も「アメリカ的」もないのは当然のことで、すべての作品の根っこのところに「アメリカ映画」があるわけですが。それらの違いは単に表面的な傾向の問題に過ぎないわけですけれど、それはよく分かった上で、「アメリカ的」作品群に、自分にとって切実なものをより強く感じる、という話です。(なんだかくどくなっちゃったな。)