『晩春』『お早よう』(小津安二郎)

今日から小津を連続して観ようと思います。数年前に買ってそのまま放置してあったDVDボックスを、そろそろ開封しましょうかという企画です。もちろん途中でほかの監督さんの映画も観るでしょうから、終わりがいつになるかは未定です。
スタートは『晩春』から。「スリリング」の一言に尽きます。能楽堂の場面は記憶していたよりもずっと長くて、そこでの原節子の凶暴な表情(というか視線の動き)にすっかりやられてしまいました。このシーンは、笠智衆三宅邦子もとにかく壮絶なまでにすごいです。
初日なので二本立てということで、続けて『お早よう』。並木座の小津特集の時もこの二本立てで観た記憶があります。野田高梧と小津による練り込まれた脚本、綿密に設計された演出が、複数の家族の入り組んだ感情のベクトルと人の動きを実に簡潔にタイトにまとめ上げる、その熟練した手さばきにうっとりと画面を見つめ続けてしまいます。