『デイズ・オブ・サンダー』(トニー・スコット)

DVDで。初見。たとえばトム・クルーズが怪我を負ったマイケル・ルーカーの代わりにレースに出ることになり、ロバート・デュヴァルの協力を得ようと彼の農場を訪れるとき、彼らの足もとをちょこちょこと歩く犬だったり、あるいはマイケル・ルーカーの農場の馬であったり、ふとした瞬間に画面が活気づく、その呼吸に触れることがトニー・スコット作品を観る喜びです。ところでこの映画、カーレースの話なのですが、車が走っているときよりも、走っていた車が止まるときに物語が生き生きとしてきます。クルーズが初めてレースで勝った夜、マシンとスタッフを乗せたトレイラーがハイウェイパトロールの保安官に止められ、アルコールの持ち込みをとがめられるのですが、実は保安官はニセ者で、ロバート・デュヴァルがお祝いに用意した女性であった、という場面を思い出しているわけです。ラストのレースシーンで、マシントラブルでピットから出られず周回遅れになってしまいそうなクルーズの車を、それまで敵対関係にあった元オーナーが協力してレースに復帰させるというベタだけれど感動的な場面にも、止まることのサスペンスと情感の盛り上がりがよく表われています。
(11/28記)