『女は男の未来だ』(ホン・サンス)

新宿武蔵野館3にて。観たい観たいと思っているのになかなかタイミングが合わず、ようやくこれが2本目のホン・サンス作品ですが、数年前の東京国際映画祭で観た『オー!スジョン』のすばらしさは今も記憶に鮮明に残っています。そのときは観ていて増村保造を想起させられもしました。
いくつかある性交シーンはどれも寒々としていて、ことの終わった後で大学教師(ユ・ジテ)が相手の女性(ソン・ヒョナ)のすね毛に気づき、彼女が定期的に剃っていると聞いて「剃ってるんだ…」とつぶやくところなど、セックスに対する幻想などかけらもなく、その醒めた視線には爽快さすら感じられます。教え子たちとの食事中、セクハラ発言がきっかけで大学教師が生徒たちに激しく非難され逆ギレするシーン、彼が教え子のひとりとホテルの薄汚い部屋に入った後、あとをつけてきた別の教え子(男子)が連れ込まれた女子の携帯に電話をかけて着信音で部屋を確認するくだり、男子生徒が扉を激しくたたき、教師があわてて性器をしまいこむところなど、ラストの一連のシークエンスは寒々しさとおかしさが交じり合って実によかったです。