『プレデター』(ジョン・マクティアナン)

DVDで。恥ずかしながら初見。これはとてもおもしろかったです。もちろん巧妙に視線から逃れるプレデターとは「映画」であり、その「映画」=プレデターの姿が、複数の視線の集中する空間に、罠によって顕在化されるあの一瞬が実にいいのです。不可視のものを可視化するその罠=装置とその作動ぶりもまた、「映画」と呼んでいいでしょう。ラストにもう一度仕掛けられる罠も文句なくすばらしいですが、このふたつの罠がともに上下軸を活かしたアクションとして設計されていることもまた、この作品のおもしろさです。プレデターが宇宙空間から地球に向けて降下していくファーストショットに始まるこの映画では、ジャングルの中を水平移動する話に見えて、実際は水平軸よりも上下軸・垂直軸が強調されているのです*1
表層を操作して透明性を装うプレデターに打ち勝つために、アーノルド・シュワルツェネッガーもまた自らの表層を(泥で)覆うことが要求されます。このとき、シュワルツェネッガー自身もまた「映画」になったのだ、と言えるでしょう。

*1:プレデターによって木の上から吊り下げられる死体や、ゲリラのアジト襲撃の場面にも、それを見て取ることができます。