矢沢あい『NANA』第14巻

Nana (14) (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1660))

Nana (14) (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1660))

前の巻あたりからお話がほとんど前進を見せないのも*1、近年のこの種の人気連載漫画にあってはありがちなことで、販売上の問題だったり(大人気連載をそう簡単に終わらせるわけにもいかないという出版者側の思惑)、物語上の問題だったり(どうやって終わらせるか実は決めてなくて現在考え中という描き手側の事情)があるのかもしれません。ともあれ、終わりの時点からの回顧という語りの形式を採用しているこの物語にあっては、その終着点までの道のりがより一層引き延ばされている印象があって、その引き延ばしが結構心地よかったりもするのでした。人間関係の可能な組合せすべてを検証するかのようなドロドロぶりも健在です。

*1:なにしろこの14巻で、ブラストは最初から最後までファーストシングルのプロモーションしかしてなくて、営業で地方を回っているだけとも言えるのです。しかも14巻の終わりに至ってもまだ営業は終わっていないのです。