『死霊のえじき』(ジョージ・A・ロメロ)

DVDで。恥ずかしながら初見。非常にいい映画でした。ロメロは紛れもない「映画作家」であって、題材や予算の多寡にかかわらず、彼の撮るショットには「映画」の高貴な魂が強く感じられます。地下シェルターの集団にあって性的な孤立と抑圧にさらされる女主人公(ロリ・カーディル)、ゾンビを手なずけようとする狂気の博士、ジョセフ・ピラトー演ずる独裁者、中立を守ろうとする黒人パイロット、野卑で粗暴な軍人たち、それぞれの欲望と計算を原動力としてドラマとして組み立て、緊張感を維持しつつ物語を展開させる脚本も、実にすばらしいです。