『ミッシング』(ロン・ハワード)

DVDで。これはいい映画でした。公開時に観逃したことが悔やまれます。ラストの崖での対決シーンは特によかったと思います。
そう言えば『シンデレラマン』には主人公のボクサー(ラッセル・クロウ)が8mmフィルムで対戦相手の試合を観る場面がありましたが、『ミッシング』に登場する「インディアン」の呪術師は写真に執着があるらしく、小さな額縁に収められた肖像写真を数枚首まわりに飾っているし、誘拐された写真師が同じく囚われの身である女たちを撮影する場面もあるのでした。もちろんこれは、「インディアン」の似姿としてのトミー・リー・ジョーンズと重なってきます。「インディアン」になろうとして、しかし当然のことながら完全には「インディアン」になれずに、「インディアン」の社会にあっても浮いた存在でしかない白人。となるとこの映画自体も、西部劇の似姿として作られながら、決して西部劇そのものではないような作品、ということになるのでしょうか。