『山猫は眠らない2 狙撃手の掟』(クレイグ・R・バクスリー)

DVDで。1作目も大傑作でしたが(id:sounddust:20060110:p1)、この2作目もすばらしい作品でした。簡潔な脚本とそれを90分で的確にまとめ上げる演出の見事な連携ぶり。美しい場面がいくつもあって、現地の地下組織のメンバーとコンタクトをとる教会のシーンや市電で町中を暴走する場面、森の中でトム・ベレンジャーとボキーム・ウッドバインが迫り来る兵士たちをあっという間に皆殺しにするところなど、強く心に残ります。
前作同様、家に帰れない若者を年老いた兵士が看取る物語です。スコープをのぞくトム・ベレンジャーの視界は肝心な時にブレるのですが、決して年齢だけが原因とは思えないこの狙撃能力の低下から主人公の心理的葛藤を導き出すといった退屈さを、脚本家と演出家は賢明に避けてみせます。ラストの敵の狙撃手との対決シーンで、視線を交わした瞬間に相手を襲う銃弾は、簡潔にして残酷であり、ただただ美しいです。