あけましておめでとうございます!

またこうして無事に新年を迎えることができて、心底ほっとしています。とはいえ、昨年は仕事も健康も遊びも全部中途半端な一年となってしまいました。今年はどれかひとつだけでも充実させたいものです。
 
さて、毎年恒例となりましたが、今年も2007年のジャンル別ベスト1を書き残しておきたいと思います。
 
● 音楽…BONNIE PINK『Thinking Out Loud』

Thinking Out Loud(初回限定盤)(DVD付)

Thinking Out Loud(初回限定盤)(DVD付)

例年ですとiTunesでの再生回数がもっとも多かったアルバムを選ぶことにしているのですが、つい先日音楽ファイルをため込んだハードディスクがクラッシュしてしまったため、一番多く再生したものの確認がとれません。ということでもっとも印象に強く残っているアルバムを挙げておきます。一昨年「A Perfect Sky」で大ブレイクしたボニピンさんですが、ニューアルバムはシングル曲のポップな部分と、昔のボニピンさんそのままの激しさや陰りが同居した、非常に振れ幅の大きい作りになっていて、繰り返し聴いても飽きることがありません。彼女の声に耳を傾けていると、歌というものが万人に共有されつつも、歌う瞬間にはひとりで歌うしかないものなのだということを、強く感じさせられます。そしてその声の「孤独」があるからこそ、歌はいろいろな人の心に響くのだとも感じます。
新譜以外では、夏頃まではピクシーズ、秋以降はアット・ザ・ドライヴ・インを、移動の電車で聴き続けておりました。
 
● 本…古井由吉「黙躁」(群像2006年4月号〜2007年6月号)
白暗淵 しろわだ

白暗淵 しろわだ

年々読書量が落ちておりますが、昨年は本当にひどくて、ろくなものを読んでおりません。ということで連載時に読んだこれを選びました。年末にようやく『白暗淵』というタイトルで単行本化されましたが、こちらは未読です。
古井由吉の新作小説を同時代で読めるということは、クリント・イーストウッドジャン=リュック・ゴダールの新作映画を同時代的に観ることができるのと同様に、本当にかけがえのないことだと思います。古井さんの文章は日本語の小説におけるひとつの究極の姿だと思うのですが、恐ろしいことに(少なくとも)ここ十数年のあいだ、古井さんはその高水準の文章をコンスタントに決して少なくない分量発表し続けていて、『野川』『辻』『聖耳』といった数冊の単行本にまとめられたそれらの文章は、もちろん一冊一冊がそれぞれ独立した作品ではあるものの、連作という形式のせいか、空襲体験や病気のことが描かれる作品が多いせいか、連綿と続くひとつの長大な小説を書き継いでいるようにも見えるのです。
この最新連作もとんでもない傑作揃いなのですが、なかでは(手元に雑誌がないのでタイトルを間違えているかもしれませんが)「雨宿り」が鳥肌もののすごさでした。
 
● 映画…『デジャヴ』(トニー・スコット
デジャヴ [DVD]

デジャヴ [DVD]

『ドミノ』のほうがすごかったけれど、いやいやこれもまたとてつもない映画です。トニスコさんの映画の美しさをどういう言葉で言い表せばいいのか、わたしにはいまだによくわかりません。ある面では非常にプリミティヴであり、と同時に決定的に新しいことが行われているようにも感じます。ともあれ、今年も彼の新作を観ることができますように!
それにしても昨年は映画の本数もかなり減ってしまいました。シャブロルも澤井信一郎も観逃してしまった…。今年は部屋に積み上げられたDVDを少しでも消化できるよう、努力したいと思います。