BONNIE PINK『So Wonderful』

so wonderful

so wonderful

夏の晴れた日に公園を散歩していたら夕立が来て、雨は勢いよく降り始めたかと思うとあっという間に晴れ上がり、日の光が再び差して潅木の枝葉や植え込みの赤や黄色の花にくっついて残った水滴をきらきらと輝かせ、わたしは濡れた顔をぬぐいもせず、額に貼りついた髪の毛もそのままに、あたりの輝きのあまりの美しさに陶然となって、その場に立ち尽くす…
ニューシングル『So Wonderful』のジャケット写真、哀しげでもあり、我を忘れた状態に心地よく浸っているようでもあるボニピンさんの表情に、まずは強く惹きつけられます。タイトル曲はいつにも増して艶やかな歌声が気持ちよく、ますますフェミニンな魅力に満ちてきた気がしますが、中盤以降のアレンジに80年代のプリンスを感じてちょっと驚かされました。わたしとほぼ同い年の彼女、この間のカバーアルバムの時もそう感じましたけど、やっぱり音楽体験に共通するものがあるんですよね、きっと。「希望を失いそうな時に勇気づけてくれる人、強さを分け与えてくれる人がいる」「不完全なわたしを完全にしてくれる人がいる」みたいな歌詞なんですけど、でも人に頼るとか依存するとかいう感覚からは遠くて、どことなく感じられる「単独感」*1が、やっぱりいつものボニピンさんなのです。
9/21発売のアルバムがますます待ちきれなくなってきましたよこれは。

*1:「孤独感」と言うようなべたついたものではなく、哀しさを抱えながらも人に甘えずに、他人から離れひとりで立っているような感覚を、こう呼んでみました。