菊地成孔『南米のエリザベス・テーラー(DVD付)』、冨永昌敬「京マチ子の夜」

会社帰りにタワーレコードへ。
南米のエリザベス・テーラー(DVD付) 菊地成孔南米のエリザベス・テーラー(DVD付)
と、sighboatsighboat』を買いました。
帰って『南米のエリザベス・テイラー』(現物のタイトル表記は「テイラー」であって「テーラー」ではありませんよ、Amazonさん。)の帯を見たら、なんと初回盤のみに限定DVDがついていて、冨永昌敬が監督した「京マチ子の夜」のビデオが収録されているとのこと。そう言われれば、どこかで冨永昌敬がそういうものを撮ったという話を書いていたような気もするけれど、はたしてそれをどこで読んだものやら、全く記憶になかったりします。というわけで、何はともあれさっそくDVDを観ることに。斉藤陽一郎と不二子、木村文と杉山彦々が出演しているこの「新作」、クリーム色の生地に花柄の模様がちりばめられた襞の多い軽やかな衣装を幾重にも身にまとった女性たちが腰を艶めかしく動かし、その柔らかな生地の襞を揺らめかせてくるくると回るように踊る姿を捉えたショットがなんとも美しく、衣服の主題をめぐる作品で(も)あることを理解するのでした。
 
部屋の電気が消えるたびに人物が入れ替わり時制が前後し、侵入者たちは目当てのものを見つけられないまま何を捜していたかを忘れてしまい、男女は途中から物語の登場人物たち、「野口」と「ダンサー」に自らを変貌させ(あるいは忘れていた自らの役回りを思い出し)、船舶会社の通訳であり「野口」の部下でもある女性は死体となって発見された後、「ダンサー」たちの楽屋を歩き回り着替えを済ませて部屋を出て行き、得体の知れない「水」があたりを重く滲ませる。ナレーションの多用といった手法面も含め、冨永昌敬的なエッセンスに充ち満ちた、魅惑的な短編映画に仕上がっていると思います。
 
すばらしい作品ではありましたが、とはいえ冨永監督にはぜひ長編を完成させて頂きたいものです。
 
アルバムの楽曲の方も聴きましたが、非常に心地よいです。当分の間は、これの前に聴いていたONJOとこれを交互に聴くことになりそうです。ONJOの方が圧倒的に刺激的ではありますが、まあこれは個人的な趣味趣向ですね。

今日はCD以外にも、DVDやら本やらを、またしても買い込んでしまいました。