村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』(新潮文庫)

ずっと放置していたこの小説ですが、今頃引っぱり出してきて、合間にほかのものを挟んだりしつつも、ようやく今さっき読み終えました。小説としてはひどい出来映えだと思うものの、ハードボイルド小説の枠組みを援用した物語構造は好きで、これではない別の物語を妄想しながら読んでました。今さら村上春樹の悪口を書いてもしかたないのですが、細部で気になったところがあって、読み終えたらそのことを書こうと思っていたのに、もう最初の方の細かい部分をすっかり忘れてしまっているので厳密な指摘ができません。小説内の時間の流れについてで、確か第1部だったか第2部だったか、間宮中尉が「僕」に長い手紙を送ってよこすのですが、これが届くのが間宮中尉の訪問の翌日だか翌々日だかで、広島まで帰ってすぐに書いた手紙だということなのかもしれないけど、いささかリアリティに欠けるように思ったのでした。特にこの小説の場合、現実の世界の奥(裏)にある非現実の世界、みたいなことが描かれているわけで、であるからには現実の世界の現実的な細部はもうちょっと厳密に書かないといけないんじゃないのかと感じたわけですが、まあそれはどちらでもいいようなことなのかもしれません。こんないい加減なこと書くとまたあとで後悔しそうですが、もう書いちゃったししかたないってことにして寝ます。ああ眠い。