『夢で逢いましょう』

今ひとつピリッとしない演出が続くなか、矢田亜希子押尾学が仕事中の長塚京三のもとに行き、長塚の承認を得られるまで結婚を延期すると伝える場面は悪くなくて、矢田と押尾に向き合う時、長塚京三がたじろいで視線を横にそらしてしまうのは、自分の隣に平行する視線を持たないからであり(妻はすでにこの世になく、ながらく隣にいた娘は今ほかの男と視線を平行させて自分と向き合っている)、こうなってしまえば最終的に結婚を承認せざるを得なくなるわけですが、そういう意味で今回の前半部分は、父は自分のそれと平行する視線の欠落に、娘は父親の視線に自らのそれを平行させてきた過去を再認識することに、それぞれ自分をなじませる時間であったのだ、と思って観るとワクワクすると思うよ。