BONNIE PINK『REMINISCENCE』

REMINISCENCE

REMINISCENCE

ボニピンさんの新譜はカバーアルバム。カバーアルバムっていうと、製作者側としては「この曲をこんな風に歌いますか!」とか「へーこの人こんな曲をカバーするんだ」っていうリスナーの反応を引き出すべく意外性を狙った選曲・アレンジをするものだと思うんですけど、ボニピンさんの場合は選曲に意外なほどにひねりがなくて、そしてそれがとてもよいのです(あえて言うなら意外なのはサザンぐらいかな。それもわたしが知らないだけで、ファンの間ではボニー・ピンクのサザン好きは有名だったりするのかもしれませんが)。アーティストの選択もさることながら、たとえばプリテンダーズだったら「Don't Get Me Wrong」、バングルスだったら「Manic Monday」と、代表曲を選んでるあたりも、意外性からは遠い印象です。原曲を半分ぐらいしか知らないのにこんなことを言うのはアレですけど、アレンジも(原曲と聴き比べたわけじゃないけど)元の曲のイメージを大きく更新するようなものではなく、あくまで原曲の印象から外れない範囲で歌っています。この「素直さ」はある意味戦略的(意図的)なものなんでしょうけど、ことさら「素直さ」を印象づけようとするようなあざとさからも遠く、ただただ好きな曲を口ずさむような感じで歌ってみました、というかのようなすがすがしさがあって、毎朝出掛けに聴いて気持ちよくなって会社に遅刻してます。そしてその気持ちよさの秘密が、このCDジャケットのちょっとコワいボニピンさんの顔にあるような予感はあるんだけど、コワすぎるのでまだ直視できていません。ごめんなさい。
ニューシングルも8月にリリースされるようですし、オリジナルアルバムは年内には聴けるのかな。今から楽しみです。