『トップガン』(トニー・スコット)

数週間かけてトニー・スコット作品を観続けてきましたが、その締めくくりとしてこの作品をDVDで再見。ちゃんと観るのは恥ずかしながらつい先日のリバイバル上映が初めてだったわけですが*1、こうして観直してみてもやっぱり普通におもしろいし、いい映画です。前にも書きましたが、ぐったりしたアンソニー・エドワーズの身体をヘリコプターから下ろしたワイヤーで海面から引き上げて吊るシーンがあり、そう言えば『デイズ・オブ・サンダー』ではレース中の事故で怪我したトム・クルーズをヘリコプターに乗せて飛びたつところを、ヘリのなかから捉えたショットがあったのを思い出したりしました。どちらも非常に美しいショットです。二回出てくる洗面所のシーン(鏡と水)、ロッカールームでトム・クルーズが荷物をまとめるシーンなども、とても充実していて、忘れがたい場面です。
冒頭、トム・クルーズの戦闘機が敵機の真上で逆さまになり、コクピット同士がすれすれの位置にくるような状態で、ミグのパイロットに中指を突き立てるという場面があり、ここでもラストの戦闘シーンでも敵のパイロットの顔ははっきりとは見えないのですが、ヘルメットの前面を覆ったサングラス状のカバーを通して、ちらりと眼が見える瞬間が幾度かあります。この映画で描かれるドッグファイトシーンは、敵機の視線=ミサイルの軌跡から逃れつつ、いかにして敵機をロックオンするか(=視線の先に固定することができるか)が描かれており、つまりこれもまた視線をめぐる物語となっています。