『アイドルたち』(マルク'O)

夜になってから再び吉祥寺に行き、バウスシアター2であやうく観逃すところだったこれを観てきました。新アイドルユニットの記者会見場から始まり、インタヴューの進行に伴って過去の再現ショーと回想シーンが入り交じり、再現ショーと回想シーンのひとつひとつがいろんなジャンルの映画を想起させるようにして描き分けられ、さらにそれらがなめらかに接続されていく、その語り口には独特の感触があって、もっともらしさからは限りなく遠い俳優たちの極端に過剰な演技に圧倒されつつ、最後まで観入ってしまいます。アイドルたちのほかに二組のカップルが、あれはマネージャーということなのでしょうか、物語に深く関わり、アイドルとしての表層とその成立過程=舞台裏がまぜこぜに語られるわけですが、要するにこれは「ふたり組」をめぐる映画なのかなぁと思って観ていました。だからこそ「三人組」のユニットによる歌は、あの唐突なラストで断ち切られるのかなぁ、と。
ひさしぶりにビュル・オジェの姿を見て、『カンヌ映画通り』やら『北の橋』やらを激しく観直したくなりました。それからアイドルというには老けすぎ・怪しすぎなジャン=ピエール・カルフォンが斜面を駆け下りてくるシーンがあるのですが、その斜面のあまりの急勾配ぶりが笑えました。
(12/20記)