- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: 単行本
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もちろん村上春樹的な主題が全面に押し出される作品もあります。「木野」がそれで、村上春樹の長編小説を濃縮還元したような印象を受けます。そしてそれ故にこの短編は退屈なのですが、それよりも納得がいかないのが「シェエラザード」で、いやもちろん主人公が「ハウス」に送られた理由、そこから外に出ない(出られない)理由を明かさないというのもひとつの手法だと理解していますが、読者としてはやはりそこでのひっくり返しというか逆転というか、そういうものを見せてほしいわけです。書かれていないことを推し量ろうとすればいくらかの想像は可能でしょうが*1、少なくとも明示されたテクスト上からはそれを読み取る術がない。それともわたしの読解力が低いだけなのでしょうか。なんだかだんだんそんな気もしてきました。