『てるてるあした』最終回

昨夜ビデオに録っておいた『てるてるあした』の最終回を観ました。
 
周縁・辺境の地としての「佐々良」は、死者が生者に混じって濃密な存在感を持ち、生者もまたどことなく死者に近づくような、この世とあの世の境界の地として描かれます。そんな「佐々良」に突然放り込まれる都会の少女が経験するのはいわゆる「異界巡り」であり、そしてその「異界巡り」を経て成長を遂げた少女が父親・母親と和解し、世界を受け入れていくという物語から、わたしたちは『千と千尋の神隠し』(宮崎駿)を思い出します。
最終回ではこれまでに準備されていたいくつかの要素がクライマックスへ向けて組織化されていて、それらの配置に関してもとてもよく練られていたと思います。木村多江の息子はいつ言葉を口にするのか、そして最初に発する言葉は何なのかということについてはかなり気になっていて、そういう意味ではあそこはもう少し決定的ななにかが欲しかったところですが、まああれはあれで正解でしょう。母親からのプレゼントであったガラス細工の林檎が、風鈴に姿を変えて黒川智花から草笛光子に贈られる、そこもまたとても感動的でした。
(7/5記)